scoutyエンジニアに訊いた、機械学習エンジニアの採用で考えるべき3つのポイント

機械学習エンジニアは、今日多くの企業が求める人材です。
一方で、需要と供給のミスマッチが発生していて、至るところで人材不足が叫ばれています。「そもそも機械学習エンジニアはどこにいるの?」「どうやって探せばいいの?」と、お困りの採用担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そのようなお悩みを解決するには、最近の機械学習エンジニアが実際にどのような就職・転職活動を行なっているのかを理解するのが有効です。
今回は、scoutyの機械学習エンジニア、アルゴリズムマネージャーの高濱に、周囲の機械学習エンジニアの就職・転職動向を踏まえた機械学習エンジニアの探し方や動き方の特徴について訊いてみました。

《プロフィール》
高濱 隆輔 (25歳)
2017年、京都大学大学院情報学研究科修士課程を修了。鹿島研究室で機械学習専攻。学生時代の研究が、人工知能分野の最も権威ある国際会議であるIJCAI-16およびAAAI-18に採択されたほか、同研究で2015年・2017年の人工知能学会全国大会で優秀賞を受賞。2016年度未踏IT人材発掘・育成プロジェクトに採択。2017年10月に株式会社scoutyにジョイン。

scoutyの入社に至るまで

– 高濱さんの学生時代からscoutyに入社するまでのことを改めて聞かせてください

まず僕のバックグラウンドからお話すると、京都大学の工学部情報学科に入学し、計算機科学コースに進みました。計算機科学コースは、簡単に言うとコンピュータに関わる研究を行うコースです。4回生になると鹿島研究室という研究室に入り、大学院時代を合わせて3年間をそこで過ごしました。

鹿島研究室は僕が4回生のときにできた研究室で、研究室1年目の立ち上げのメンバーとして研究室の設備を整えるための機器の接続や電源確保など、本当に環境を作ることからはじめました。

鹿島研究室の研究テーマは「人工知能を中心とした知能情報処理の基礎技術開発とその実世界応用」だったので、そこでみっちりと機械学習やデータマイニングの分野について学び、研究していました。僕個人の研究テーマはランキングの推定やクラウドソーシングの応用に関するもので、八ッ橋に関する論文を出したことで面白がられたこともありました。

その後、大学院卒業とともにリクルートホールディングスに就職し、半年で退職してscoutyに入社しました。scouty代表の島田、CTOのshowwinは計算機科学コースの同窓生だったので、そのつながりから入社を決めました。

機械学習エンジニアの新卒時の動き

– 新卒でリクルートに入社したのはなんでだったんですか

新卒のときに入社を悩んでいたのは、リクルートとサイバーエージェントとフリークアウト(一応scoutyも)でした。

リクルートに決めたきっかけは、優秀なメンターの方に出会ったことです。フリークアウトでも優秀な方と出会うことができたのですが、リクルートではそういった優秀な人とより多く出会えたという自分の実感から「この人達と一緒に仕事がしたい」と思い入社を決めました。

リクルートにはデータサイエンティストとして入社し、Webのアクセス情報を解析して離脱率を下げたり、CVRを高めたりする施策に携わっていました。

– 高濱さんの周りの機械学習エンジニアは、新卒時にどんな企業に就職したんですか?

事業会社に行きたい人はリクルート、サイバーエージェント、DeNAに入社した人が大半だと思います。Preferred Networksに就職した知り合いもいます。もちろん、僕が観測している範囲の情報なので偏っているかもしれません。
機械学習を専門にしていたが、伝統的な日本の大手企業に就職した知人も数名います。

– なんでリクルートやサイバーエージェント、DeNAに就職する人が多いんですか?

個人的な見解では、機械学習エンジニアが就職を決める大事なポイントは以下の3つです。

①優秀な人材エンジニアが活躍していることが外から見えることの重要性

順に説明していくと、例えばサイバーエージェントでは、エンジニアが社内で表彰されたとか活躍しているという情報を外部にうまく発信しています。他にも、リクルートやフリークアウトではインターンシップでメンターとして指導してくださった社員の方がとても優秀で感動した記憶があります。自分もこの優秀な人と働きたい思えること、そして活躍する場が提供される環境だということが機械学習人材を惹きつけていると思います。

②利用できるデータが豊富にあることの重要性

次に、利用できるデータがたくさんあるということは機械学習エンジニア、データサイエンティストにとって非常に重要です。リクルートはC向けの膨大なユーザー数を抱えるサービスを提供しているので、サービスのトラフィックから得られた行動ログや会員の属性といった膨大なデータを活用することができます。
データが少ないと機械学習モデリングや分析からインパクトのある結果を得られにくいので、データ量は重要なポイントになると思います。

③ 機械学習エンジニアの仕事が事業に与える影響が大きいことの重要性

最後に事業に与える影響については、例えば広告領域では、機械学習エンジニアがデータをもとに行った改善が直接的に売上に影響します。サイバーエージェントのアドテクスタジオやフリークアウトなどでは、まさにそういった分野に携われるので機械学習エンジニアの取り組みが与える事業への影響が大きく、魅力に感じると思います。

ベンチャー・スタートアップが機械学習人材を採用するコツ

– ベンチャー・スタートアップで機械学習人材を採用したい場合はどうしたらいいですか?

僕の観測範囲では、新卒入社でベンチャーやスタートアップに行く人はいませんでした。おそらく少しはいると思いますが、そこまで多くはないと考えています。
そもそもベンチャー・スタートアップには、大手企業に対して機械学習エンジニア採用のディスアドバンテージがあります。それはさきほど話したデータの問題です。多くのベンチャー・スタートアップは新しいサービスを展開しようとしているので、自社で保有している独自のデータが少ないことがほとんどです。それでも、toCでメディアを運営している企業なら、メディアが流行することで多くのトラフィックデータを獲得できる可能性もありますが、特にtoBのサービスを展開している企業では将来性を考慮してもデータ確保が非常に困難です。

ちなみに、scoutyの場合は、社内ではなくSNSなどの情報を収集してデータ量を確保しています。スタートアップのディスアドバンテージを解消するために、「データの独自性をある程度犠牲にしてはいるが、とにかく大量のデータは手元にある」という状況を無理やり作っているとも言えます。

そもそも、少ないデータしか保有できていないことが原因で機械学習エンジニアからの魅力が乏しく、機械学習エンジニアを採用できない場合は、たとえ機械学習エンジニアを採用しても活用できないのではないかという疑いもあります。AIブームの影響で機械学習エンジニアやデータサイエンティストの採用熱が高まっていますが、その人材が本当に必要なのか考えたほうがいいのではないかと思う例はいくらでもありますね。

ビジョン共感の重要性

「データは少ないけどどうしても機械学習エンジニアが必要」と考えているベンチャー・スタートアップ企業にとって、機械学習エンジニアを採用する際に武器になり得るのは、「ビジョン共感」だと思います。データ量などでは大手に勝てないことが明白なので、サービスや会社の目指すビジョンや社会への影響力を打ち出して共感してもらうことが大事ではないでしょうか。加えて、なぜ自社が機械学習エンジニアを必要としているのか、どんなデータを使ってどんな仕事をするのか、そういったことを機械学習人材に理解してもらう必要があると思います。

機械学習エンジニアの探し方

– そもそも機械学習エンジニアってどうやって探せばいいんですか?

有効な方法としては、人工知能研究などを専門テーマにしている研究室に所属している学生をリストアップすることです。多くの機械学習エンジニアはそういった研究室に在籍して研究しているので、研究室のリストアップやリレーション作りは重要な採用施策だと思います。実際におこなっている企業も多いですね。

それに加えて、最近では研究室に所属しなくても就職後やインターン先で機械学習に触れて、そこから独学で学んでいる人もいます。そういった人を見つけるには、機械学習をサービスに活用している企業から探すことも有効です。この場合、所属企業からどんな分野に携わっていたかもだいたい判別することができます。機械学習エンジニアを採用したい担当者は、機械学習をサービスに活用している企業についても知っておく必要があるでしょう。

まとめ

以上、scoutyの機械学習エンジニアの高濱に機械学習人材の採用のポイントを聞いてみました。このインタビューをまとめてみると機械学習エンジニアの採用には下記のことが大事だとわかりました。

① 優秀なエンジニアが活躍していることが外から見える
② 利用できるデータが豊富にある
③ 機械学習エンジニアの仕事が事業に与える影響が大きい

採用にあたっては研究室とのリレーションや、機械学習を活用している企業への在籍経験を基にして候補者を探すことが有用そうです。

ベンチャー・スタートアップ企業は、保有しているデータ量が少ないという点から採用に苦戦が予想されます。ビジョン共感などを打ち出していくことが大手企業に採用で勝つための手段なのかもしれません。

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